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日本の世界遺産 白神山地(11) 「青森、秋田の自然保護団体」
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両保護団体の主張、
○、世界最大規模のブナ原生林に人手を加えると、学術的価値を損なう ○、地形が急峻なので人手を加えると斜面崩壊や土石流が発生する恐れがある
○、1年の半分以上が雪で使えない道は、当局が言うような経済効果や文化交流が期待できない ○、雪で林道が壊れることは必至で、毎年の維持費がかかりすぎる
などだった。
しかし事業主体の青秋両県は、林道の必要性を主張し、保護団体の訴えを聞き入れず、既に、工事は着工されていた。
この自然保護運動の動きに柔軟に対応したのが、青森県知事だった。 知事は1987年11月、『 青秋林道建設でメリットが得られるのかどうか判断がつかない。 林道反対意見を無視することが無いようにしたい 』と発言した。
業者の一方の責任者でもある知事の発言は重く、林道建設に限りなく消極的であることを意味していた。 この発言は、諸々の諸機関に影響を与え始め、流れは自然保護への高まりが決定的になっていった。
これらの動きを見て林野庁は1990年、白神山地の中核部を森林生態系保護地域に設定した。 このことは林道工事は勿論、地域内での営利的な施業は出来なくなり、これで完全に青秋林道建設中止が決まり、白神山地が守られることになったのである。
この流れで国は1992年、白神山地を自然環境保全地域に指定し、更に、ユネスコは1993年、白神山地を屋久島とともに世界遺産に登録したのである。
次回、 白神山地(12) 「生活の場・白神山地」
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