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日本の世界遺産 白神山地(12) 「生活の場・白神山地」
地元民の生活の場でもある白神山地
青秋林道建設反対運動が起こった当時、林野庁の手で林道計画が自動的に廃案になるとはだれもが予想していなかったことだし、ましてや世界遺産にまで「出世」するとは、誰にも考えは及ばなかったという。
ふるさとの原生林を守りたい、という素朴な気持ちで地元民から生まれた保護運動であるが、この小さな芽が全国の世論を動かし、ついには国や世界を動かしたのである。 このような例はかつて無く、「白神」はわが国自然保護運動史と共に、世界自然遺産という輝かしい歴史的な1ページを残したことになる。
生活の場としての白神山地、
ただ、現地、白神山地で生活を糧にしている人達に言わせれば、『 「未踏の原生林」とか言うけれども、私たちは1000年以上も前からこの山から様々な恵みを受けてきました。誰も人が入ったことがないと思われるぐらい、環境にダメージを与えない暮らしをしてきたのです。 ところが世界遺産に登録されたことで、長年この地で暮らしてきた私たちですら、この山に自由に入り狩猟や採取をすることが許されなくなりました。 他の先進国では、世界遺産に登録されたとしても、その地に暮らしてきた人々がそれまで通りの生活を続ける権利を認めたにも関わらずです。そういう自然保護運動とは如何なものでしょうか?』
「 登山や観光目的で入山する人を規制するのは仕方ないかもしれないが、わずか20数名しか残っていないマタギの人たちの入山や、狩猟・採取まで規制するのはおかしいのではないか 」という意見もある。
白神山地は世界遺産に登録されるずっと以前から、周辺の町や村の住民にいろいろな恵みを与えてきた。
世界遺産になったからと言って、地域の住民から既得権や生活権を奪ってしまうのは余りにも杓子定規であろう。
地元地域民は、林業で生計を立てている人もいるし、山菜取りもいる。 「マタギなどは大昔から白神のブナ林で生活」してきているのである。 それらの人達が白神山地を荒らしたと言う話は聞かない。 それどころか白神の山をうまく利用し、共存共栄してきたことは明白な事実である。
問題なのは他の地域から山に入るマナーの悪い人達ではないのだろうか。 そのような一部の心無い人達のために、先祖代々営々と山との良い関係を築いてきた地域の人達から、山との係わり合いを断ち切ってしまう様な権限はだれももっていないのである。
白神山地(13) 「日本の世界遺産」 .
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