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日本の世界遺産 白神山地(38) 「世界遺産の今後の課題」 .
赤石川源流部
白神山系を源流とする赤石川は、アユ、ヤマメ、イワナの宝庫で、特にアユは、「金アユ」として全国の釣り客を魅了している。
提供、「東北自然保護ネット」; http://www.jomon.ne.jp/~misago/index02.html
平成4年(1992)7月に、環境庁(現環境省)は、青森・秋田両県県境部に位置する白神山地の一部である大川・暗門川、赤石川、追良瀬川及び粕毛川の各源流域について、冷温帯の自然植生を代表するブナ天然林が、人為による影響をほとんど受けることなく広く維持されている地域であるため、自然環境保全法の「すぐれた天然林が相当部分を占める森林の区域」に該当しており、自然環境保全地域として保全を図る必要があるとして、「自然環境保全地域」に指定した。
更に、平成4年(1992)10月、政府は自然遺産の候補地として白神山地森林生態系保護地域を世界遺産委員会に推薦し、平成5年(1993)12月には、世界遺産委員会による審査で、世界遺産条約に基づく世界遺産一覧表に登録された。
その10年前、地元民による「青秋林道」建設反対運動が、国有林において政史上に残る大運動となり、結局、建設は中止された。
彼らは、当初は「世界遺産にして欲しい」、「世界遺産になる」などということは、全く頭には無かった。
例えば、東北自然保護団体の「赤石川を守る会」では、
かっての世界遺産地域の中心を流れる赤石川は、釣りや漁、山菜、茸とりなどは流域にすむ人々の楽しみともなっていて、川沿いには戦後、森林鉄道も入っていたが、「赤石の奥山は100年かかっても伐り尽くせない」と思われるほどであった。
我等の暮らしの本質は、「自然は保護されるものだ」という意識などは全くなく、自然の中で、自然とともに、特別な思いも無く、自然体で暮らしていたのである。
ところが、全国的な国土開発ブームにのって、昭和40年代頃からは奥山の乱伐が進み、川の水量は1/3になり、山からの土砂の流入が川を汚し、地域の誇りである金鮎(赤石川に棲息するという幻の川魚で、金色の鮎)を減少させた。
影響で、豊穣の海も海産魚類・藻類の漁獲量も年々激減する事態となった。
それらが主因となって、「青秋林道」の建設が、文字通りムラをあげての反対となつたのである。 それらが実を結んで、結果的に「世界遺産」にもなったときも、素直に本当にもう伐ら(切られる)れることがなくなったので、本当に良かったなと思っていた。
ところが更に、「世界遺産」になってからは、今までとは比べられないたくさんの車や人が、争って訪れることになり、それに、周辺の各町村で施設や建物の建設競争、道路の補修や拡幅があちこちで、進められるようになってしまった。
彼らは、「世界遺産って、人を呼ぶためになったのか」、「世界遺産になって、かえって工事が増え、煩くなった」、「世界遺産が、おらだちを山から閉め出す・・?」と、素朴に思うようになったのである。
彼らが疑問に思っていることの幾つかと、それについての「赤石川を守る会」の意見として、次のように書かれている。
1、世界遺産の緩衝地域は狭すぎます。
2、入山の制限はすべきでないと思います。
3、地元の山を地元の住民にも、利用させないのはどうしてなのかと思います。
4、地元の意見を聞く場、発表できる場を設けてほしいと思います。
5、世界遺産と生態系保存との整合性を考えなければならないと思っています。
世界遺産から流れる赤石川やその他の河川や森林の生態系を大切にする立場にたつのであれば、以上のようなことも考えに入れた総合的な施策をもつべきではないかと考える。
更に当面、河川のダムへの魚道の新築設置計画すべきであると、「守る会」の人々は提言している。
「東北自然保護ネット」; http://www.jomon.ne.jp/~misago/index02.html
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